介護と仕事のバランスを考える   その二

日本社会は、申請前置主義です。こちらサイドがサービスを受けたくても、受給資格や給付内容は政府が決めた法の基準に合っていないと、サービスを受けることはできません。法律には、拡張解釈と類推解釈のやり方があります。拡張解釈は字の通りですが、類推解釈は、例えば牛と馬は同じ四足です。ですから牛が通行禁止なら馬も同じ四足だから禁止という考えです。そして申請はまったくどちらの考えもとらない独特なものです。役所は、申請しない人はサービスを必要としない人という考えです。ところがサービスを必要とする人は、一人暮らしの方が多く、申請をするためには身近な人が傍らに要る必要があります。こんな日本社会での、50代の社員の会社員が介護の問題と向き合うときどうなるのでしょうか、私も多くの皆様も不安をいだいていると思います。

行政の側から見た介護問題

行政の立場は、「申請ありき」です。自己責任と言う言葉はよく聞かれる言葉だと思います。収入のこと、介護を考える場合、いろいろなサービスやシステムがあるのに使わない又は知らない これも自己責任だとよく言われます。サービスやシステムを知らず、結果介護を苦に殺人を犯してしまう現実を私たちは知っています。そして判決ではよく社会機構の不備を判決文にも入れ、マスコミもそれを取り上げますが現実はさほどかわりません。被告は酌量となり、そして事件は風化してゆきます。司法ではシステムの不備を指摘しながら、行政はこれまでとおり何もかわりません。私は、自己判断や自己選択を否定するものではありませんが、自己責任という言葉は行政に都合よく使われていると感じます。

 

会社にこれだけは期待したい。

下記のことは、明日からでもできることです。よく介護の本等には、介護の問題解決として、業務を分析無駄を省こうとか、仕事の効率化を図り、みえる化を図るとかありますが、それでは数年もかかることもあり、悪ければ途中挫折もありえます。簡単なことですが、私は次のことを実践していただくだけで会社は大きく変わるきっかけをみいだせるのではないかと思います。

 

       ① 会社で介護について考えるミィーティングをもとう

   会社の会議と言えば、業績 営業方針が中心ですが、サブで人事制度や経費削減プロジェクト会議がある場      合があります。これらの会議と同 列に介護の問題の集まりをもち、社員の意識に介護という問題が常に発生      する場合があることを認識する。

② 介護を抱えそうな社員又は抱えている社員を知ろう

    介護の問題は家庭の問題 なかなか職場には話しづらいものです。しかしこの問題を抱えている社員の気    配はなんとなくわかる場合もあります。みんなで支えあいましょう 

③ 介護を抱えている社員には、必ずサブとなる社員をつけましょう。

   前にも述べましたが介護を抱えている社員は会社の中核の方が多いと思います。サブを必ずつけることによ    って、業務の途中で抜けたり、また休業に入っても支障のないようにしたいものです。

④ スローガンとして貼りだしましょう

   人は、口頭で言いにくいことも、文章で貼りだすことで立場を主張することもできます。例えば水曜日はノー残       業日ですとか なにかいい会社と社員にとって、響く言葉を考えませんか。

 

厚生労働省の統計では、介護休業の通知について社員に通知しているのは40%ほど 対策を講じているのは20%程 これでは介護の問題が自身に起きても会社に言い出せる環境にあるのは、ごくまれな方です。上記対策は簡単かつすぐできることばかりです。そしてこの先に申請前置主義の壁があります。団塊の世代が介護を必要とする時代です。なにかはじめてみませんか。

 

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