メンタルヘルスが必要な社員 その三

前回メンタルヘルスが必要な社員の復帰について、経営者及び担当者の復職プログラム作成への気持ちの持ち方を述べさせていただきましたが、残念ながら復帰が困難な社員は多くいらっしゃいます。厚生労働者の統計では、「過去にメンタルヘルス不調で休職した社員がいる」企業が2.7%。特に1000人以上規模では, 100%とすべてで過去に休職者が発生しています。 そして 完全に職場復帰できたのは「半分程度」とする企業が25.1%で最も多く,以下「7~8割程度」が22.0%, 「ほとんど (9割以上)」が20.3%と続きます。この3者に、「全員」復職できた(7.9%) を合計すると約75%となり, 4分の3の企業で「半分程度」以上が完全復帰できたとあります。 しかし見方を変えれば、復帰割合が半分に満たないところ(「2~3割程度」「1割台以下」「全員復職できなかった」) の割合を合計してみると, 規模別では1000人以上16.2%, 300~999人25.6%, 300人未満32.4%となり, 規模が小さいほど完全復帰の割合は低い傾向がみられるとも言えます。それはどうしても人員的なことから、メンタルな部分は上司まかせや大企業では可能な転勤「社員を異動できない」との要因もあるかもしれません。でも心を病んでいる人には、メンタル的なことも必要ですが、生活を立て直すお金も必要です。病気でもお腹はすく 残念ながらこれも現実です。当コラムでは、復帰できるまでの生活の糧となる給付金を紹介したいと思います。それぞれ名前は類似していますが、別なものです。

健康保険と雇用保険より

精神疾患も病気です。当然傷病手当金の支給対象となります。会社にお勤めの場合は、大多数が全国健康保険協会か健康保険組合の健康保険に加入していると思います。その中の給付の一つが傷病手当金です。給付には加入期間とか支給要件がありますが、ここはクリアしているものとして下記の表は、支給期間と金額を雇用保険の失業給付と組み合せたものです。 病気で会社を退社した場合とお考え下さい。                   

参考資料 傷病手当金マニュアルより傷病手当金.png

傷病手当金と失業給付を受ける場合の注意点としては前の職場で傷病手当金を受けていて、職場を変わって給付を受けようとしたら不支給となった場合もあります。(例えば病名を少し変えて給付をうけようとした場合等、昨今は過去の受給記録を念入りに審査するそうです。)

労働者災害補償保険(略 労災)より

労災での補償は、厚生労働省が、平成11年に定めた「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」に基づいて労災認定を行っていましたが、より迅速な判断ができるよう、平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定め、これに基づいて労災認定を行うことにしました。給付金としては障害補償年金又は一時金があります。ただ私はここで条文の解釈で「業務上疾病にかかり、治った場合に支給とあります。」この文言がメンタルヘルスの必要な精神疾患者にどうかかわってくるのかと疑問に感じております。

国民年金と厚生年金より

企業にお勤めであれば 厚生年金に加入されていると思います。そしてこの中の給付の1つである障害厚生年金が、メンタルを必要とされている社員が受けられる給付金としてこれまで紹介して給付金の中で一番のメインとなっているのです。それは、健康保険の傷病手当金は、1度受けてしまうと2度目は難しい、労災は先ほど述べましたように認定基準がまだ新しく役所としては得意の「前例があまりない」のです。

そこで障害厚生年金ですが、通常申請しますと3級に認定されてしまいます。しかし2級に認定されれば、国民年金より障害基礎年金が支給されます。重要なのは申請のやり方ですが残念ながら役所ではそんな情報は教えてくれません。3級と2級の金額は人によって異なりますが、加給年金を含めますと月10万の差が出来る場合もあります。詳細はご相談下さい。

医師は病気を治すプロですが、診断書(申請を通す)を書くプロではありません

自立支援医療制度より

自立支援医療制度とは障害者自立支援医療(以下,自立支援法)は,平成18年4月から自立支援法に変り,自己負担額は1割になりました.それでも,治療費を従来の3割負担から1割負担に軽減できる,心強い支援制度です.
 なお,原則自己負担1割になりますが,世帯所得水準に応じた自己負担上限額が設定され,上限額以上の負担は免除されます.例えば,市民税が非課税で本人収入が80万円未満の場合,月2千500円が上限となり,それ以上かかった治療費は免除されます.市民税課税者で市民税が2万円未満の人の場合,月額上限は5千円になります.この上限額の設定には,医療保険の加入単位で判断されますので,詳細は各市町村や区のHP「社会福祉課」などを参照ください.

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